ご挨拶

航空安全情報自発報告制度は、2014年度から国土交通省航空局の「航空安全プログラム」が開始されたことに伴い始まった安全情報の報告制度です。航空安全に関する報告制度としては既に、法令等で定められた事故、重大インシデント等に関する義務報告制度がありますが、これらだけでは捉えきれない多くの情報を収集し、航空の安全向上のために活用していくことは大変重要なことです。このため、航空安全情報自発報告制度は、航空活動に直接携わっておられる方々(個人またはその所属する事業者等の組織)から、自ら経験または視認した航空の安全上の支障を及ぼす可能性があったと思われる事象(いわゆるヒヤリハット)(※1)についての報告を収集し、業務実施者間で情報を共有するとともに、それらの情報を分析して必要と思われる改善を提案することによって、航空の安全向上に寄与することを目的としています。

この制度は、報告者を保護する観点から、航空安全当局(国土交通省航空局)や報告者の所属する組織以外の第三者機関が運営を行うこととなっており、公益財団法人航空輸送技術研究センター(ATEC)がその役割を担うこととなりました。また、「航空安全プログラム」において、この航空安全情報自発報告制度に関して、航空安全当局は、報告者の個人、会社名等が特定される情報の提供を制度運営者に対し求めないこと、および本制度に提供された情報を行政処分等の不利益処分の根拠として使用しないこと、が謳われています。
航空活動に携わっておられる方々には、本制度について十分ご理解いただくとともに、皆様積極的に安全情報の提供を行っていただくようお願い申し上げます。

※1:国の義務報告制度の対象となる事象を除いたあらゆる事象を意味します。例えば航空運送事業者の場合、航空事故、重大インシデントおよび安全上支障を及ぼす事態を除くあらゆる事象が対象となります。

公益財団法人航空輸送技術研究センター